とあるど平日、会社を出るときにスマホを確認したところ、ママンからメールが。
なんでも、『札幌駅ビルの観光案内コーナー脇のカフェスペースに帽子を忘れてきた。娘が行く旨連絡してあるから帰りにとってきてくれ』とな。
なぜワタシの都合を確認するより前にワタシが取りに行く手はずになってるんだとか、そもそもそんなカフェスペースの存在を知らないとか、言いたいことはいろいろあったが、とりあえず行ってみた。
ママンの言うカフェスペースかどうかわからないながら、レジのお姉ちゃんに帽子の忘れ物を問い合わせ、「こちらで間違いありませんか?」と見せられた何の特徴もないどこにでもありそうなグレーの帽子は、見たことあるようなないような…。(ママンの持ち物にまったく興味がない)
違ってたら返せばいいやと受け取って帰る途中、観光案内スペースで出会ったんですよ、そのポスターに。
道内各地の観光案内のパンフレットが並んでいる明るいスペースからちょっと外れた、若干陰になってる壁面の、なぜか下の方に貼ってあったポスター。
『浅野武彦の木版画の世界』
コレ(↑)はポスターと同じデザインのチラシだけど、こんなんが壁に貼ってあるのが通りすがりにふと目について、ひとめぼれに近い感覚でズッキュンときめいたんで、とりあえずスマホで撮影。
浅野武彦も知らなければ苫小牧市美術博物館も知らないうえ、紺も青も好きな色じゃないんですけど、妙に心惹かれるものがあったので…
最終日前日、フラッと車走らせて行ってきました、苫小牧。
今回は『スマホだけを頼りにドライブ』ってのもサブテーマとしたお出かけだったんですが、結論としては、『スマホのナビはワタシには合わない』。
そもそもナビ自体合わないんですけどね…。
ナビに従って動きながら脳内地図を構築するという作業に手ごたえがない。(ある種の方向音痴)
前にナビで通ったのと同じ道を辿ることはできるけど、ここを曲がったらもっと早いんじゃないかとか、ここを行けばあそこに着くんじゃないかとか、地図が広がったり繋がったりしにくいというか、一度走って知ってる場所って感覚が芽生えにくいというか…。
あらかじめ見た地図をもとに青看見ながら自分で考えて動く方が相当楽だと気付いたので、これからも車移動のときにスマホは頼らないナビは付けない。車用のスマホスタンドも片づけた。
大体ナビの野郎ときたら、地図で見る限りそのまま直進すればよさそうなのに、わざわざ左折右折右折の大迂回を指示してくるから、半信半疑ながらもそれに従ったら、この交差点右折していいのかよってところを右折させられた挙句、結局迂回せずに直進した方が早かったというね…。
あいつ、何のつもりであんな迂回路を指示してきやがったのか。
しかも、入口でも何でもないところでナビ終わりやがるし。
かといって道路に駐車場を示す案内もなく、勘で脇道に車突っ込んだら小さめの駐車場があったのでそこに車を停めて案内板を確認。どうやら『出光カルチャーパーク』なる公園の駐車場で、ワタシの目指す美術博物館はその敷地内にあるようではあったが、道路には美術博物館への案内はおろか、出光カルチャーパークへの案内すらなかったような…。出光カルチャーパークの敷地内にあるってことを到着して初めて知ったくらいなんで、もし案内があったとしても見てなかった可能性は高いけどな!
公園の名前みたいなのがが刻まれた石が道路から見えてはいたが、ソコ、歩行者しか通れない入口だったし、市外からはじめて来る人にはなかなかに難解な入口でありました。(別なところにもっと大きな駐車場が何ヵ所かあるようだが、通ってきた道にはそれの案内もなかった気がする)
そもそも、スマホのマップに『苫小牧市美術博物館』と入力したら問答無用で『あみゅ~』とやらのを目的地設定されてしまって脳内は「???」。
『あみゅ~』って何じゃいと思いながら、ポスターの写真を拡大すると、『苫小牧市美術博物館』の文字の右上にちっちゃーく書いてあったわ、『あみゅ~』。
書いてあっただけでソレが何なのかは一切書いていなかったが、どうやら苫小牧市美術博物館の愛称らしい。知るかよ。
そういえば、ポスターの住所も地番だけで『出光カルチャーパーク内』とかの記載は一切なかったな。
公式サイトのアクセスページには確かに「出光カルチャーパーク」というバス停で降りろと書いてあるけど、近くにある公園かと思ってたわ。車で行く人用の案内もまた「交差点を港方面へ」って、はじめて市外から車で来て港がどっちかなんてわかるか! 海が見えてるならともかく、市街地しか見えないのに海がどっちとか知らんし。(なんとなくはわかるけど、はじめてだから不安なんだよ!)
微妙にわかりにくい説明とワタシの残念なオツムとの合わせ技で、どうにも腑に落ちない道行となりましたが、次は多分大丈夫。
今度はナビじゃなくて地図と青看見ながら自分で動くから。(根深いナビ不信)
で、肝心の木版画ですが。
休日に行ったにも関わらずお客さんがほとんどいなかったので、ゆったりたっぷり楽しめました。しかも300円。特別展の入場券で常設展も見られちゃうよ。すごい安い。すごいお得。そして、すっっっごくよかった!
浅野武彦さんって方を存じ上げなかったのですが、本職がお医者さんなせいか、生と死の深淵を感じさせる題材に出てくる髑髏とかは、そこはかとなくコミカルでありながらどこかリアル。(骨の数とかくっつき方とかはかなり正確だそうです)
北海道の風景は版画の線と陰影のせいか、北欧のテキスタイルのような雰囲気もあって、妙にオサレであった。ラプアンカンクリにこんなクロスあったなあとか。白樺描けばおのずと似てくるだけなのかもしれないけれど。
来る途中に支笏湖畔で見た景色がそのまま彫り出されているのにも妙に感動。(ちなみに帰りに見た支笏湖は目を奪われるような美しいサンセットで、前を走るレンタカーがまんまと目を奪われたか、片側一車線の湖畔沿いの路肩もほとんどない道路で後続車がいるにも関わらず道路のど真ん中で突然ブレーキを踏んだっきりしばらく動かなかった)
動植物のモチーフの選び方とか、単体じゃなくていっぱいいる感じとか、いちいち好みで展示場を何往復もしてしまった。
図録があったら3,500円くらいまでなら躊躇なく買ってたな。5,000円でも一瞬迷って買ってたな。
実際はハガキの1枚も売ってなかったけどな‼(号泣)
売ってたら買ったのに! 絶対!
常設展も見られるってことだったので、特に興味もないけど時間もあるしと思って立ち寄ってみました。
この地域に生息するいろんな動物の剥製がいっぱいありました。
ワタシは剥製を見るとちょっと切なくなりつつも、いつもは檻をはさんだり遠くからしか見られない動物の大きさとか毛並みとかがわかるので結構ガン見してしまうタイプなんですが、友人は怖いと言って近づかないので、ヤツには無理だろうなあ、ココ。何がどう怖いのかよくわからないんだけど。死んだ後も勝手に見世物にされる動物の怨念的なものを怖がってるのかなあ?
苫小牧だけにアイスホッケーの道具や歴史の展示コーナーがあったり、アイヌの生活の展示コーナーがあったり、町が発展していく経過や、その当時のハイカラなメニューなんかも展示されていました。
レトロなレストランメニューにもなかなかときめいたんですが、一番ときめいたのはやはりアイヌ刺繍。
刺繍の施された衣装がたんまり収蔵されているんですが、たんまりなだけに『展示』というより『収蔵』。ケースに収納されているものを勝手に引き出して見るスタイル。(当然ガラスケースに入っていて触ることはできませんが)
衣装以外の化石とかも、棚の引き出しを自分で引き出して見るスタイルでした。
時間があるからってだけで何の期待もせずに入ったわりには、かなり楽しんでしまった。
こちらも特別展と同じでほとんどお客さんいなかったけどね…。
過去の特別展もなんか面白そうなのがけっこうあったんで、もうちょっとアピールしなくちゃもったいない気がするぞ、この美術博物館。
基本的に市民だけでまったり運営していきたいんですってなら何も言えないけど、市外の人間にとっては、出会うのも行き着くのも若干ハードルが高かった。
もうちょっと人がいっぱい入っていっぱいお金落とせば図録とかも出たりしないかなあって!(まだ言う)(だってすんごくよかったんだもん)(でも画集とか市販されてないみたい)(図録! 図録が欲しかった!)
これからも思い出したらチェック入れておこうと思う美術館でした。
とりあえず、カフェスペースで引き取ってきた帽子はママンのもので間違いなかったことはご報告しておきます。
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